重症心身障害児(者)とは

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重度の肢体不自由と重度の知的障害とが重複した状態を重症心身障害といい、その状態にあるこども(18歳未満)を重症心身障害児、成人した人を含めて重症心身障害児(者)と呼びます。

これは医学的診断名でなく、福祉制度の上で定義され長年にわたって使われてきた用語です。重症心身障害児(者)は全国でおよそ4万人と推定されています。

重症心身障害の判定基準として,東京都立府中療育センター元院長の大島一良医師が考案した大島分類(1968年)が長く用いられてきました。当初は大島分類1~4が重症心身障害児とされました。

しかしその後,いわゆる「広義の」重症児(大島分類5~9)や「動く重症児」(大島分類10,11,17,18)といった常時見守りが必要な人たちについても,従来の重症児と同様に療育や家族支援の必要性が訴えられてきました。
 

さらに近年,ノーマライゼーションの理念の浸透と在宅医療機器の進歩により,人工呼吸器や経管栄養などの「医療的ケア」をしながら在宅で地域の中で暮らす子どもたちが増えてきました。

濃厚な医療的ケアの必要な重症児が「超重症児」と呼ばれるようになりました。また,従来の重症児の定義には当てはまらないものの,濃厚な医療的ケアの必要な子どもたちが「医療的ケア児」と呼ばれるようになりました。

重症心身障害は,運動機能と認知機能の2つの軸だけではもはやとらえきれなくなり,「医療的ケアの必要度」という第3の軸もあわせて考えなくてはなりません。

どんな基準に当てはまるか当てはまらないかに関係なく,必要なお子さまとご家族に必要な社会的ケアが行き届く,そんな社会にしていきたいですね。 (理学療法士 佐野直樹)